ポイント解説
日本の社会保障制度は、憲法第25条にもとづいて整備され、社会保険、公的扶助、社会福祉、公衆衛生の4本柱で成り立っています。しかし、少子高齢化にともない予算に占める社会保障関係費の割合が増大しており、財政を圧迫するという課題に直面しています。
1.日本の社会保障制度
・日本国憲法第25条にもとづき、国民の生存権を国の責務として実現しようとする制度
・4つの柱で構成:社会保険、公的扶助、社会福祉、公衆衛生
・憲法の条文:第25条②
「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」
①社会保険
・保険加入者があらかじめ保険料を納入し、病気や高齢になったときに、現金の支給やサービスの提供を受けることができる
ⅰ.医療保険
・病気やけがで病院にかかったとき、費用の一部の負担で治療などを受けられる
ⅱ.年金保険
・障がいを負ったときや、高齢になってから、現金の給付を受けることができる
※日本は1960年代前半までに、国民皆保険と国民皆年金を実現
→すべての国民が医療保険と年金保険に加入
ⅲ.雇用保険
・失業したときに給付を受けられる
ⅳ.労災保険(労働災害保険)
・職場でけがなどをしたときに給付を受けられる
ⅴ.介護保険(制度)
・2000年から導入。収入のある40歳以上の人が加入して保険料を支払い、介護が必要になったときに介護サービスを受けられる
②公的扶助
・生活保護:経済的に生活が困難な人に生活費や教育費などを支給する
・生活保護法にもとづいて整備
③社会福祉
・社会的に弱い立場にあり自立が困難な人たちの生活を保障し、福祉を向上させる
・老人福祉、障がい者福祉、児童福祉などがある
④公衆衛生
・国民の健康の維持・増進のために、感染症の予防や生活環境の整備を行う
・予防接種、上下水道の整備、公害対策などがある
2.日本の社会保障制度の課題
①少子高齢社会
・現在の日本は、子どもの数が少なく高齢者の数が多い
※65歳以上の高齢者の割合は25%を超えている
②問題点
・予算の社会保障関係費の増大:医療費や年金給付が増える
・一方で労働者が減るので税収や保険料は減る
→財政がきびしくなる
③対応
ⅰ.介護保険(制度)
・社会保険の1つとして導入
ⅱ.後期高齢者医療制度
・75歳以上の高齢者は独自の保険に加入することに
3.各国の社会保障制度の特徴
①高福祉高負担
・充実した社会保障と重い税負担
例:スウェーデン
②低福祉低負担
・医療保険や年金保険は民間の企業が中心に担い、個人は自己責任で備える
例:アメリカ
漢字の読み方(タップで開きます)
・国民皆保険:こくみんかいほけん
・国民皆年金:こくみんかいねんきん
・公的扶助:こうてきふじょ
・公衆衛生:こうしゅうえいせい
・高福祉高負担:こうふくしこうふたん
・低福祉低負担:ていふくしていふたん
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