新しい人権
・産業化・情報化など社会の急速な発展や複雑化などにより、新たに主張されるようになった権利。
・日本国憲法の条文に明確な規定はないが、第13条の幸福追求権や、第25条の生存権をおもな根拠とする
1.環境権
・健康で快適な環境で生活する権利
・1960年代以降、公害の深刻化を背景に主張されるようになった
①おもな法令や制度
ⅰ.環境基本法(1993年)
・環境保全のために、国の基本的な方針や原則を定めた
ⅱ.環境アセスメント(環境影響評価)
・大規模な開発を行う際に、開発が周囲の環境に及ぼす影響を事前に調査・評価すること
※1997年、環境アセスメント法(環境影響評価法)を制定
②環境権に含まれるその他の権利
ⅰ.日照権
・日当たりのよい環境で暮らす権利
ⅱ.嫌煙権
・非喫煙者がたばこの煙(副流煙)による健康被害を防止する権利
2.知る権利
・国や地方公共団体などが保有する情報の公開を要求する権利
・国の主権者である国民にとって、正確な判断をするためにも必要
・情報化社会の進展などを背景に主張されるようになった
おもな法令や制度
ⅰ.情報公開制度
・1980年代以降、多くの地方公共団体が条例を制定して制度化
ⅱ.情報公開法:1999年制定、2001年施行
・国レベルでの制度導入
→行政の保有する情報の公開を請求することが制度として可能に
3.プライバシーの権利
・個人の私生活を他人に暴露・干渉されない権利
・情報化の進んだ近年は、個人情報を自分で管理する権利としても主張されている
おもな法令
個人情報保護法(2003年)
・国・地方公共団体や民間企業が保有する個人情報を慎重に管理することを義務付けた法律
4.自己決定権
・自分の人生や生活について、自分の意思で決める権利
①インフォームド・コンセント
・手術・治療などの医療行為について患者が医師から十分な説明を受け、理解したうえで同意し、医療行為を受けること
②尊厳死
・回復の見込みのない病気で意識不明や激しい苦痛などで死期が近い状態にある患者が、延命のためだけの医療行為を拒否し、人間としての尊厳を保ちながら死をむかえること
③安楽死
・回復の見込みがなく激しい苦痛の状態にある患者に対し、医師が薬物の投与などで積極的に死に至らせること。
※日本では法的に認められていない
④臓器提供意思表示カード(ドナーカード)
・脳死になった際に、臓器移植について自分の意思を示すためのカード
・健康保険証や運転免許証にも意思表示欄あり
・本人の意思が不明の場合、家族の同意があれば提供が可能
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