この単元と次の単元では、日本国憲法で保障されている人権を確認していきます。
1.平等権
平等権は、すべての人間が等しい扱いを受ける権利のことです。
しかし、 実際には差別が残っているため、国は法律を制定するなどして、差別をなくし平等を実現することに取り組んできました。おもな例としては、以下のものがあります。
女性差別をなくし男女平等を実現するために、男女雇用機会均等法が1985年に制定されました。さらに1999年には、男女共同参画社会基本法が制定されました。
階段に手すりやスロープを設置するバリアフリー(化)も、障がい者や高齢者にとって暮らしやすい社会を実現するための取り組みとしてあげられます。
2.自由権
自由権は大きく3つに分けられます。①精神(活動)の自由、②(生命・)身体の自由、③経済活動の自由です。これがさらにこまかく分類されます。それぞれについて見ていきましょう。
①精神の自由(精神活動の自由)
精神の自由(精神活動の自由)は、個人の内面に関する自由です。何を思ってもいい、何を考えてもいい、そして思っていることを自由に表現していい、という自由です。
精神の自由は、さらに以下の自由に分けられます。
ⅰ.思想・良心の自由
ⅱ.信教の自由
どんな宗教を信じてもよいし、信じなくてもよい自由です。
ⅲ.集会・結社・表現の自由
同じ考えを持った人が集まったり、考えを発表したりする自由です。
ⅳ.検閲の禁止
検閲とは、国が本や雑誌の内容を事前に調べることです。表現の自由を侵害する行為なので、憲法で禁止されています。
ⅴ.学問の自由
戦前は社会主義などの研究が取りしまりの対象となっていました。日本国憲法では、自由に学問を研究できることが保障されています。
②生命・身体の自由(身体の自由)
生命・身体の自由(身体の自由)は、不当に身体を拘束されない自由です。
命令や服従を強制されないこと、不当に逮捕されないことなどがあります。また、逮捕する場合には、裁判官の発行する逮捕令状が必要となります。ただし、現行犯の場合は、逮捕令状は必要ありません。
取り調べにあたっては、自分に不利なことを話さなくてもよい権利が保障されています。これを黙秘権といいます。
③経済活動の自由
経済活動の自由は、社会生活を送ることや、お金を使うこと・かせぐことなどに関する自由です。
ⅰ.居住・移転・職業選択の自由
住む場所を自由に決め、自由に引っ越しができる。自由に職業を選べる自由です。
ⅱ.財産権の保障
自分の財産を所有し、自由に処分できる自由です。
3.社会権
社会権とは、人間らしい生活を送る権利です。世界では、1919年にドイツのワイマール憲法で初めて社会権(生存権)が保障されました。
社会権は以下の①~④に分類されます。③と④をまとめて、3つに分類する場合もあります。
①生存権
生存権とは、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利です。
②教育を受ける権利
教育を受ける権利とは、能力に応じて等しく教育を受ける権利です。
③勤労の権利
お金をかせいで生活するための労働(働くこと)も、権利の1つとして保障されています。
④労働基本権(労働三権)
労働基本権(労働三権)とは、労働者に保障されている以下の3つの権利です。
ⅰ.団結権
労働組合を結成する権利です。
ⅱ.団体交渉権
労働条件の改善について、使用者と対等な立場で話し合う権利です。
ⅲ.団体行動権(争議権)
労働者が自分たちの要求を実現するために、ストライキなどをおこす権利です。
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