1.公害
企業の生産活動や人々の日常生活を通して、地域住民の健康や生活環境が損なわれることを公害といいます。法律の規定では、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭といった種類があります。
日本では、高度経済成長期に公害が深刻化しました。水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそくの四大公害裁判では、いずれも患者側の全面勝訴に終わりました。
2.行政の対応、公害対策
公害問題に対しては、政府もさまざまな取り組みを行いました。1967年に制定された公害対策基本法では、公害を防ぎ国民の健康と生活環境を守ることをめざしました。1971年には、環境問題に取り組む国の機関として環境庁が設置されました(環境庁は2001年に環境省になりました)。
特に1990年代以降は、公害だけでなく環境保全もふくめた取り組みが重視されるようになり、1993年に環境基本法が制定されました。これは、環境保全のための総合的な取り組みを推進する法律で、国の基本的な方針や原則のほか、行政・企業・消費者の責務などが定められました。
大規模な開発にあたって、環境への影響を事前に調査・評価することが、法律で義務づけられています。これを環境アセスメント(環境影響評価)といいます。
資源の消費を減らし、再利用を進め、環境への影響を最小限におさえた社会を循環型社会といいます。その実現のために、3Rの取り組みが重視されています。この3R(3つのR)とは、ごみの発生を抑制するリデュース、再使用を意味するリユース、再生利用のリサイクルです。
2000年には、循環型社会形成推進基本法が制定されました。この法律を土台として、家電リサイクル法、容器包装リサイクル法など各種のリサイクル法も制定されました。
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