しっかり歴史

日本の産業革命と社会問題

ポイント解説

日本の産業革命は1880年代後半に軽工業で起こりました。日清戦争後には重化学工業でも起こり、八幡製鉄所が操業を開始しています。日本でも資本主義が発達し、財閥が成長しました。一方で、労働争議や公害問題(足尾銅山鉱毒事件)、小作争議が発生するなど、問題も多くみられました。また、社会主義大逆事件で弾圧され、「冬の時代」を迎えることになりました。

1.日本の産業革命

①軽工業

1880年代半ば以降に発展

ⅰ.紡績業
綿糸を生産する
大阪紡績会社などが生産

ⅱ.製糸業
生糸を生産する
・大半が女子労働者(工女・女工)
・低賃金・長時間労働の問題

重化学工業の発展

日露戦争前後(20世紀初め)から大きく発展

ⅰ.官営八幡製鉄所
・北九州に設立
 下関条約で得た賠償金をもとに建設
・1901年、操業を開始
筑豊炭田の石炭と、中国から輸入した鉄鉱石で鉄鋼を生産

2.資本家と労働者

労働組合

・労働条件の改善を使用者(経営者)に要求するために、労働者が団結して結成された団体

②労働争議

・労働者と経営者の間でおこる争い
・労働者は労働条件の改善などを求めてストライキをおこすことも

3.財閥

・金融をはじめさまざまな業種に進出し、日本経済に大きな支配力をもった資本家とその一族
※四大財閥:三井・三菱・住友・安田

4.公害の発生

足尾銅山鉱毒事件(栃木県)

渡良瀬川が汚染、住民に大きな被害
→地元の衆議院議員田中正造が問題解決に尽力

5.社会主義の動向

①社会民主党の結成

・1901年、幸徳秋水らを中心に結成
・日本最初の社会主義政党

大逆事件

・1910年
・社会主義者の幸徳秋水らが死刑になる

6.農村の動き

小作人の増加

・生活が苦しく、借金を返せない農民は土地を手放すことに

地主

・多くの土地を手に入れ、株式投資などを通して資本主義と結びつく者も


漢字の読み方(タップで開きます)

・紡績業:ぼうせきぎょう
・綿糸:めんし
・大阪紡績会社:おおさかぼうせきがいしゃ
・製糸業:せいしぎょう
・生糸:きいと
・工女:こうじょ
・女工:じょこう
・八幡製鉄所:やはたせいてつじょ
・筑豊炭田:ちくほうたんでん
・財閥:ざいばつ
・三井:みつい
・三菱:みつびし
・住友:すみとも
・安田:やすだ
・足尾銅山鉱毒事件:あしおどうざんこうどくじけん
・渡良瀬川:わたらせがわ
・田中正造:たなかしょうぞう
・社会民主党:しゃかいみんしゅとう
・大逆事件:たいぎゃくじけん
・幸徳秋水:こうとくしゅうすい
・小作人:こさくにん
・地主:じぬし

 


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