1.三権分立
国の権力を3つに分散させ、それぞれ独立した機関に担わせるしくみを、三権分立といいます。これは、フランスのモンテスキューという人物が主張した考え方で、日本など多くの国で採用されているしくみです。
日本では、国会が立法権、内閣が行政権、裁判所が司法権をそれぞれ担当し、三権はたがいに抑制しあい、均衡を保っています。
三権分立を採用している理由・目的は、1つの機関に権力が集中すると、権力が濫用されて国民の自由や権利を侵害するおそれがあるからです。
2.三権の関係
国会・内閣・裁判所の、それぞれの関係を見ていきます。
まず①②は国会と内閣の関係です。
①国会→内閣
国会から内閣に対する権限として、内閣総理大臣の指名があります。内閣総理大臣は国会議員の中から指名されるのでしたね。
また、衆議院のみがもっている権限として、内閣不信任の決議があります。可決された場合、内閣は10日以内に総辞職するか、衆議院を解散しなければなりません。
②内閣→国会
反対に、内閣から国会に対しては、内閣は国会召集の決定をする権限があります。また、衆議院の解散を行う権限もあります。ほかに、国会に対する連帯責任を負っています。
続いて、③④は国会と裁判所の関係です。
③国会→裁判所
国会から裁判所に対しては、裁判官の弾劾裁判(弾劾裁判所の設置)があります。
④裁判所→国会
裁判所から国会に対しては、国会が制定した法律の違憲審査があります。この裁判所の権限を、違憲立法審査権といいます。ほかにも違憲審査権、法令審査権などいくつかの呼び方がありますので、使っている教科書などで確認しておいて下さい。
⑤⑥は内閣と裁判所の関係です。
⑤内閣→裁判所
内閣から裁判所に対しては、最高裁判所長官の指名、その他の裁判官の任命があります。
⑥裁判所→内閣
裁判所から内閣に対しては、命令・規則・処分の違憲・違法審査があります。
3.国民と三権
教科書や資料集などで三権分立の図を見ると、中央に「国民」が示されています。主権者である国民と三権の関係も確認しておきます。
裁判所は国会・内閣のそれぞれに対して、違憲または違法かどうかを判断してるということですね。
①国民→国会
国民(有権者)は、国会議員を選挙で選ぶことで、主権を行使します。
②国民→内閣
国民は、内閣に世論を通して政策などに影響を及ぼします。世論を伝えるのには、新聞やテレビなどのマスメディアの役割が重要となります。
③国民→裁判所
国民は裁判所に対して、最高裁判所の裁判官についての国民審査を行います。
また、裁判員制度も実施されるようになるなど、国民の司法参加の機会も増えています。
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