1.衆議院の優越
・参議院より衆議院の議決が優先されること
衆議院が優越する理由
理由1
・衆議院は、参議院より任期が短く、解散もあるため、選挙の機会も多くなり、世論をより強く反映していると考えられるから。
理由2
・衆議院と参議院が反対の議決ばかりしていると、いつまでも決まらなくなってしまうから。
2.衆議院の優越が認められている事項
①法律案の議決
・衆議院が可決し、参議院が否決した場合
・衆議院が可決し、参議院が60日以内に議決しない場合
→衆議院が出席議員の3分の2以上の賛成で再可決すれば法律となる
⇒憲59条②
「衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。」
②予算の議決
③条約の承認
a:衆議院が可決し、参議院が否決した場合
→両院協議会を開き、それでも一致しなかった場合
→衆議院の議決を国会の議決とする
b:衆議院が可決し、参議院が30日以内に議決しなかった場合
→衆議院の議決を国会の議決とする
⇒憲60条②
「予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。」
⇒憲61条
「条約の締結に必要な国会の承認については、前条第2項の規定を準用する。」
※予算の議決と同じ
④内閣総理大臣の指名
a:衆議院と参議院で異なる指名の議決がなされたとき
→両院協議会を開き、それでも一致しなかった場合
→衆議院の議決(指名)を国会の議決とする
b:衆議院が指名し、参議院が10日以内に議決しなかった場合
→衆議院の議決を国会の議決とする
⇒憲67条②
「衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて10日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。」
3.衆議院のみに認められている権限
⑤予算の先議権
・予算の審議は、必ず衆議院が先に行う
⇒憲60条①
「予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。」
⑥内閣不信任の決議
・内閣不信任決議が可決された場合
→内閣は10日以内に総辞職するか、衆議院を解散しなければならない
⇒憲69条
「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」
しっかり公民にもどる