しっかり地理

中部地方の産業(しっかり解説)

1.中部地方の農業

園芸農業

東名高速道路など交通の便がよいのを利用して、都市向けに野菜・花を栽培しています。

ガラス温室やビニールハウスを利用した園芸農業も行われています。これを特に施設園芸農業といいます。愛知県の電照菊(でんしょうぎく)などが有名です。

抑制栽培

標高の高い長野県の高冷地では、夏でも冷涼な気候を利用して、野菜などの出荷時期を遅らせる抑制栽培行われています。レタスキャベツなどの高原野菜が栽培の中心です。

長野県レタスの生産量が全国1位です。キャベツの生産量は愛知県・群馬県が1位を競っています。くわしくは関東地方で学びますが、群馬県の嬬恋村(つまごいむら)でも抑制栽培が行われ、キャベツが多く生産されています。

③稲作

越後平野などの北陸では、雪が多く降る冬は農業がほとんどできません。そのため、1年に1回を生産する水田単作地帯が広がっています。米の生産量は新潟県が全国1位、2位は北海道、3位以下は東北地方となることが多いです。

一般的な米は10月前後に収穫されますが、夏の気温が高くなる北陸地方では8~9月ごろに収穫されるものが多いです。このように、他の地域よりも早く市場に出荷される米を早場米(はやばまい)といいます。

特定の品種・産地を登録した米を銘柄米(めいがらまい)といいます。「新潟県魚沼産コシヒカリ」のように、産地と品種がセットで表示・販売されています。

④果樹栽培

山がちな地域では扇状地という地形が多く形成されています。扇状地は水はけがよいため、果樹栽培に適しています。そのため、中央高地の甲府盆地長野盆地の扇状地などで、ぶどうももりんごなどの果樹が栽培されています。

おもな果樹の全国の生産量は、
ぶどう:1位山梨県、2位長野県、3位山形県
もも:1位山梨県、2位福島県、3位長野県
りんご:1位青森県、2位長野県
などとなっていて、中部地方の山梨県・長野県が上位にランクインしていますね。
そのため、中部地方にはぶどう狩りやりんご狩りが楽しめる観光農園も多く見られます。

⑤その他

静岡県の牧ノ原(台地)では、の栽培がさかんです。の生産量は静岡県が全国1位です。2位は鹿児島県。

2.中部地方の工業

中部地方は工業がさかんな地域で、いくつかの工業地帯・地域があります。

中京工業地帯

愛知県名古屋市を中心に、岐阜県や三重県の一部にも広がっている工業地帯です。全国の工業地帯・地域のなかで工業生産額が1位となっています。

工業生産額のうちわけを見ると、機械類が6割以上を占めています。そのなかでも輸送用機械、具体的には自動車が多く生産されています。 愛知県豊田市には国内最大手で世界でも有名なトヨタ自動車があるため、自動車の生産が多く、日本国内だけでなく海外にも名古屋港などから輸出されています。

ちなみに、豊田市はかつて挙母市(ころもし)という名前でしたが、この企業の名前をとって1959年から豊田市に変わりました。

三重県四日市市石油化学工業がさかんで、石油化学コンビナートが構成されています。

愛知県瀬戸市岐阜県多治見市陶磁器の生産がさかんです。多治見市は2007年に40.9℃を記録し、当時の日本最高気温を更新した地です。

東海工業地域

静岡県浜松市富士市など、静岡県の太平洋岸に広がっている工業地域です。二輪車(オートバイ)ほか、ピアノパルプ紙製品輸送用機械(自動車など)の生産が多くなっています。

特に国産のピアノはすべて静岡県で生産されています。楽器生産ではヤマハや河合楽器が有名ですが、いずれも静岡県の会社です。

パルプとは、木材や草から取り出した繊維で、紙を作るための原料となるものです。

③北陸工業地域

新潟県・富山県・石川県・福井県の北陸地方の沿岸部に広がる工業地域です。雪の多い冬は農業に適さないため、冬の農家の副業から発展したものが多く見られます。

伝統産業では、石川県輪島塗九谷焼加賀友禅など、新潟県小千谷ちぢみなどが有名です。

福井県鯖江市(さばえし)では眼鏡フレームの製造がさかんです。国内生産量の約9割を占めるほどになっています。

3.世界遺産

岐阜県白川郷(しらかわごう)富山県五箇山(ごかやま)合掌造り集落が世界遺産に登録されています。傾きの急な茅葺き(かやぶき)屋根の家屋が特徴です。


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