しっかり公民

裁判の種類と人権保障

1.裁判の種類

民事裁判

・個人間や企業間の争いを解決する裁判
・裁判官が法にもとづいて判決を下す

原告…訴えをおこした側
被告…訴えをおこされた側

和解…当事者どうしの話し合いで解決し、判決を待たずに裁判を終了すること

行政裁判

・国や地方公共団体を相手におこす裁判
・手続きは民事裁判と同じ
 ※民事裁判に含む場合もある

刑事裁判

・犯罪行為の有罪・無罪を判断する裁判

※刑事裁判の流れ:以下の(1)~(5)
(1)犯罪の発生
(2)警察官が犯罪を捜査
(3)被疑者を逮捕・勾留
(4)検察官が被疑者を起訴する →被疑者は被告人とよばれる
(5)裁判官は法にもとづいて被告人が有罪か無罪かを判断する。有罪の場合は刑罰を言い渡す

2.裁判と人権保障

①令状主義

・警察官が逮捕や捜索を行う場合には、裁判官の発行する令状が必要

⇒憲33条
「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。」
※司法官憲:裁判官のこと

⇒憲35条②
「捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。」

黙秘権

⇒憲38条①
「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」

③拷問などによる自白は証拠として扱えない

⇒憲38条②
「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。」

④証拠が自白のみの場合は有罪にならない

⇒憲38条③
「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。」

⑤裁判を受ける権利

⇒憲37条①
「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。」

⑥弁護人を依頼する権利

⇒憲37条③
「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、でこれを附する。」
国選弁護人がつくということ

⑦法定手続の保障

・刑事裁判は、法律で定められた手続きに従うという原則

⑧罪刑法定主義

・刑罰は、法律の定めに従って科せられる
(法律の定めがなければ、刑罰を科せられない)

⇒憲31条
「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」

⑨推定無罪の原則(無罪の推定)

・裁判で有罪の判決を受けるまでは、被疑者や被告人は無罪とみなされる

⑩疑わしきは罰せず(疑わしきは被告人の利益に)

・疑わしいというだけで、犯罪を明確に証明できない場合は、被告人の利益になるように判決を下す(無罪とする)べきだという考え方


漢字の読み方(タップで開きます)

被疑者:ひぎしゃ
・拷問:ごうもん
・抑留:よくりゅう
・拘禁:こうきん

 


しっかり公民にもどる