景気調整政策
政府と日本銀行は、景気調整のための政策を行います。
好景気のときは、出回っているお金の量が多すぎるので、世の中のお金の量を減らすための政策をとります。反対に、不景気のときは、出回っているお金の量が少なすぎるので、世の中のお金の量を増やすための政策をとります。
このことを前提としておさえておくと、好景気・不景気のときにどのような政策が行われるのか理解しやすくなります。
1.財政政策
政府が行う景気調整政策を財政政策といいます。好景気のときは、世の中に出回っているお金の量が多すぎるので、それを減らします。そのため、税金は増税することで、お金を多く取ろうとします。公共投資(公共事業への支出)は減らすことで、世の中にお金をあまり出さないようにします。
不景気のときはその反対で、税金は減税して、お金をあまりとらないようにし、公共投資を増やすことで、お金をたくさん送り出します。
2.金融政策
日本銀行が行う景気調整政策を金融政策といいます。現在行われているおもな金融政策には、公開市場操作があります。これは、日本銀行が一般の銀行との間で国債を売買することで、世の中のお金の流通量を調節するというものです。日本銀行は、一般の銀行と取り引きをしますが、企業や家計とは取り引きをしません。そのため、一般の銀行が保有するお金の量を増減させることで、景気を調整しようとします。
好景気のときは、世の中に出回るお金が多すぎて困っているのですから、銀行の保有するお金を減らそうとします。そうすれば、銀行は企業や家計にお金をあまり貸すことができなくなり、世の中に出回るお金も減ります。具体的には、日本銀行は銀行に国債を売ることになります。銀行から大量のお金が日本銀行に移動しますので、銀行が貸し出せる資金が減ることになり、出回るお金の量が減少することになります。こうして、景気が落ち着くことが期待されるのです。
不景気のときは、出回るお金が少なすぎて困っているのですから、銀行の保有するお金を増やそうとします。そうすれば、銀行は企業や家計にお金をたくさん貸すことができるようになり、世の中に出回るお金も増えます。具体的には、日本銀行は銀行から国債を買うことになります。日本銀行から大量のお金が銀行に移動しますので、銀行が貸し出せる資金が増えることになり、出回るお金の量も増加することになります。こうして、景気が回復することが期待されるのです。
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