必修公民

司法権の独立と裁判員制度(必修解説)

1.裁判官の身分保障、司法の権限

①裁判官が辞めさせられる場合

裁判官は、在任中の身分が保障されており、その意思に反して裁判官を辞めさせられることは、以下の3つの場合に限られています。

心身の故障で職務を行うことができない場合
・国会に設置された弾劾裁判所で罷免(ひめん)の判決を受けたとき
 ※罷免というのは、クビという意味です。
国民審査による罷免

3つめの国民審査で対象となるのは、最高裁判所の裁判官に限られます。有権者が、最高裁判所の裁判官について、適任かどうかを判断するというものです。これは、衆議院議員総選挙の際にあわせて行われます。しかし、衆議院の選挙の方にばかり注目が集まっていることもあり、3つめの制度で今まで罷免になった裁判官はいません。

司法権の独立

裁判官は国会や内閣などからの影響を受けず、自分の良心に従い、独立して公正に裁判を行うという原則です。裁判官は憲法法律のみに拘束されます。

このようにして、裁判が常に公平・中立に行われることで、裁判を受ける人たちの人権も守られるというわけです。

違憲審査制

国会が制定した法律などが憲法に違反していないかどうかを、裁判所が具体的な事件の裁判を通して審査することです。

特に、最高裁判所は法律などが合憲か違憲かについての最終決定権をもっているため、最高裁判所は憲法の番人とよばれます。

2.裁判員制度

裁判員制度とは、司法制度改革の1つとして2009年から実施されています。有権者の中から くじ(抽選)で選ばれた国民が、裁判員として刑事裁判に参加するという制度です。

対象となる裁判は、殺人など重大な刑事事件です。裁判員は、裁判官とともに被告人の有罪・無罪を判断し、有罪の場合は刑罰の内容も決めることになっています。なお、裁判員が参加するのは、刑事裁判の第一審のみです(おもに地方裁判所で開かれる裁判ですね)。また、裁判員裁判に参加する裁判員は6人で、裁判官は3人というのが原則です。


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