必修公民

裁判所(必修解説)

1.裁判所の地位

裁判所は三権のうち司法権を担当します。

2.裁判所の種類

裁判所には、大きく分けて最高裁判所下級裁判所の2つがあります。最高裁判所は、国内最高の司法機関で、全国に1か所、東京都にあります。

下級裁判所というのは最高裁判所以外の裁判所をまとめた呼び方で、次の4種類の裁判所があります。

高等裁判所は下級裁判所のなかでも最上位の裁判所で、おもに第二審を扱います。全国8か所にあります。

地方裁判所は、おもに第一審を扱う裁判所で、各都府県に1か所、広い北海道には4か所の合計50か所あります。

家庭裁判所は、特に家庭内の争いや少年事件を扱います。その数は地方裁判所と同じで、全国に50か所あります。

簡易裁判所は軽い事件を扱う裁判所です。全国438か所にあります。

3.裁判の種類

裁判の種類は大きく分けて2つあります。

民事裁判

個人間や企業間の争いを解決する裁判が民事裁判です。片方が裁判所に訴えをおこすことで、裁判が始まります。訴えをおこした側を原告、訴えをおこされた側を被告といいます。両者の主張をふまえたうえで、裁判官が法にもとづいて判決を下します。

なお、裁判の途中であっても、原告と被告の両者が和解すれば、裁判は終了します。

刑事裁判

犯罪行為の有罪・無罪を判断する裁判が刑事裁判です。

犯罪が発生すると、警察官が犯罪を捜査し、被疑者を逮捕・勾留します。取り調べを行い、検察官が被疑者を起訴すると、被疑者は被告人とよばれるようになります。

こうして裁判が始まるわけですが、裁判官は法にもとづいて被告人が有罪か無罪かを判断し、有罪であれば刑罰を言い渡します。

刑事裁判では、訴える(起訴する)のは検察官、訴えられた側が被告人です。被告人は、弁護人(弁護士)を依頼する権利をもっています。

なお、ニュースや新聞などでは、犯罪をしたと疑われる人物を「容疑者」と表現し、検察官に起訴されると「被告」と表現されることが一般的ですが、正確には、容疑者ではなく「被疑者(ひぎしゃ)」、被告ではなく「被告人」であることに注意しましょう(「被告」は民事裁判ですね)。

4.三審制

同じ事件について、3回まで裁判を受けられる制度のことです。民事裁判と刑事裁判のどちらにもあります。三審制がとられている理由・目的は、裁判を慎重に行い、人権を守るためです。

この制度において、第一審の裁判所の判決に不服の場合に、第二審の裁判所に訴えることを控訴(こうそ)といいます。第二審の裁判所の判決に不服の場合に、第三審の裁判所に訴えることを上告といいます。

例えば、第一審の地方裁判所の判決に不服の場合は、高等裁判所に控訴して第二審が行われます。そこでの判決にも不服である場合は、最高裁判所に上告することになります。最高裁判所で示された判断が、最終的な判決として確定します。


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