新しい人権とは、日本国憲法に明確な規定はないものの、経済発展や社会の変化にともなって主張されるようになった権利のことです。
日本国憲法が公布されたのは1946年ですから、もう70年以上も前のこととなります。その間、高度経済成長や技術の発展によって、当時は想定していなかった事態が発生したため、新たな権利が主張されるようになりました。
1.環境権
良好な環境で生活することを求める権利です。高度経済成長期に深刻化した、公害問題とともに主張されるようになりました。
日当たりのよい環境で生活することを求める日照権も環境権にふくまれます。
2.知る権利
国や地方公共団体に対し、情報の公開を求める権利です。国民が主権者として政治に参加するためには、正確な情報を得る必要があります。
1999年に制定された情報公開法では、行政機関が保有する情報の公開を請求することが認められました。ただし、個人情報は公開しません。
3.プライバシーの権利
個人の私生活に関する内容を、他人に勝手に公開されない権利です。情報化の進展した近年においては、個人情報を自分で管理する権利としても主張されています。
この権利に関連する法律としては、2003年に制定された個人情報保護法があります。
4.自己決定権
自分の生き方を自分自身で決める権利です。
この権利の一例として、インフォームド・コンセントがあります。これは、医師が治療方法を十分に説明し、患者が理解し同意したうえで医療行為を進めるというものです。
ほかにも、臓器提供意思表示カード(ドナーカード)も、自分の死後の臓器移植についての自己決定権を尊重するものといえます。
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